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月見草09

11月2日
初めて君と会う日の朝

眠れなかったから目の下が腫れぼったい。
シャワーを浴びて準備をした。
少し落ち着いていた興奮状態は、時間が近づくたびに再び激しくなっているのがわかる。

10時にチェックアウトをして、駅中のカフェでコーヒーを飲む。
色々な不安がココロを過っている。

会った瞬間、やっぱりちょっと無理ですと言われるかも。
急用が出来たから、やっぱり会えない とか。。
君が待ち合わせ場所まで来たけど、タイプじゃないからそのまま帰って、もう連絡来ないとか。
そんな悪い方向ばかり考えていた。
でも、何度か話をした雰囲気からは そんな人には見えない。
きっと会えるだろうと信じていた。

本当は今日郡山に着く事になっているけど、実は昨日から来ていた
でもこの事は話さないでおこうと決めている。
ただ少しサプライズしたいと思っていた。

君が駅に来る前に、君の家まで先に行こうと考えた。
住所はすでに教えてもらっていた。
12時に駅の改札で約束だから、たぶん30分前くらいに出発かな。。
11時に君の家に行こうと考えていた。そして君がマンションの前に出てきたところを驚かせる。
そんなサプライズの作戦を考えた。

10時になった。
僕は地図を頼りに君のマンションへ向かう。
真っ青な空、少し冷たい風が本当に心地よかった。
駅から君のマンションまではとてもわかりやすい道で
ほとんどまっすぐ。
一つ橋を越えて右へ曲がると、そのマンションは見えてきた。

この時、僕のココロは最高の緊張と、最高の嬉しさにミックスされた
なんとも表現できない色彩の色に染まっていた。
そんな気持ちが空の青色と川に流れる水の音が、
忘れられないあの日のあの時間を、胸の中にずっと焼きつく事になるなんて、
この時は思ってもみなかった。

すぐに君のマンションに到着した。
住所は聞いていたから、このままドアホンを押しても問題はないと思うけど、
まだ君の事はほとんど知らないし、勝手に来た事で何か大変な問題が発生することも考えて
チャイムは押さずにそのまま少し待った。

わずか15分後に君は外に出てきたんだけど、数時間も待ったような気持ちになったのは
この時が最初で最後だったかもしれない。

一台のタクシーがマンションの前に止まった。
そのあと2、3分後に、君が出てきた。
タクシーに急いで乗り込もうとしていたその時
僕は
「ちょっと、待って!」

君は何が何だかわからないような表情が5秒ほど続いたあと、その顔はすぐに笑顔に変わって
タクシーを降りた。

「ゆうやくん!?」

君はタクシーの運転手さんにちょっと待ってくださいと一言つたえて再び僕を見た瞬間
なんだか時間が数分ゆっくりとスローに進む感覚だった

「はじめまして、、かな。」と僕は挨拶した。
「はじめまして、、ですね。」と君は言った。

緊張する二人の間にふっと、先の風が流れた瞬間。
何か魔法が解けたように、自然な二人の会話が始まった。
緊張はもうなかった。幸せすぎる感覚だった。

君は、
「駅前に良いコーヒーショップあるから、今から行こうよ!」

さっきまでの僕の心配は全部風と共に流れていった。
君の笑顔と、少し興奮気味な様子を見ていると、
僕と出会った印象はそんなに悪くないと感じた。
でもまだ安心できない。せっかく遠いところまできたから
1日だけ付き合ってあげるか、と思われているかもしれないしね。

でも、そんなことはいい。 やっと会えたんだ。
タクシーの後部座席、車が曲がるたびに肩が触れ合う。。
そんな距離にいるんだ。

とても綺麗だった。 写真の数十倍綺麗な人だった。
僕は期待した、このまま発展できれば幸せかもと少し思った。
君の表情も話し方も、その優しすぎる瞳が
とても良い人なんだろうなと思った。

タクシーを降りた場所は、さっきまで宿泊していたホテルの目の前だった。
この街にさっききたばかりのふりをして、郡山の街の事を聞いた。



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